ごはんができたよ 

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ごはんができたよ / 矢野顕子

●最近また矢野顕子を聴いてます。特に昔の。

いいんだなあ、これが。

タイトル曲の「ごはんができたよ」は、ホント、名作です。

著作権の関係で歌詞は引用できないけど、“どんな人の上にも夜は来る”って意味のフレーズはもうほとんど三好達治。(^^;)


    雪      
               三好達治

    太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
    次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。



特徴的な声とファンシーな曲調で、ほんわか明るい曲ばかりのように思われがちだけど、これまた名曲「ラーメン食べたい」で、いきなり“男ばかりでなく女もつらい”と歌い上げるその裏には、しっかりとした人間観察と土俗的ともいえる“母性”を感じてしまいます。

「ラーメン食べたい」歌詞はこちら

特に上記アルバムも含まれるMIDIレーベル時代の楽曲は、元夫、坂本龍一のアレンジも良い感じに曲に奥行きを与えてて、今聴いても十分斬新。

ぜひお花見に出かける車の中で「春咲小紅」なんかをかけちゃってください(笑)

「春咲小紅」の歌詞はこちら

では。

のだめカンタービレ 

のだめカンタービレ #17 (17) のだめカンタービレ #17 (17)
二ノ宮 知子 (2007/02/13)
講談社
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●大人気、「のだめカンタービレ」です(^^;)

でも、言っておきますが「のだめ」はこんなに有名になる前からうちの奥さんが見つけてきて、1巻からず〜っと追ってきていたんです(ちょっと自慢?)。

二ノ宮知子は「天才ファミリーカンパニー」もそうだったけど、「才能」というものにどうしても惹かれる作家さんなんだなあ、と思います。

でも才能というのは、見いだしてくれる人が必要だったり、その使い方をマスターするために努力したり、十分発揮するためにある程度忘れる必要もあったりして、なかなか扱いが難しいものです。

のだめもそのへんのドタバタが楽しくて、そしてすこし切なくて、立派に青春マンガしてて、ようするに傑作なわけです。

17巻の最後でオーケストラのみんなが足で拍手(拍足?)するシーンに、自分が吹奏楽部でメラメラ燃えていた時代を思い出して、じんわり気持ちが熱くなってしまいました。

まだ知らない方、テレビドラマしか見たことのない方、悪いことはいわないからすぐ全巻買って読んでみてください。

いいですよ〜

宇宙からの帰還(立花隆) 

宇宙からの帰還 宇宙からの帰還
立花 隆 (1985/07)
中央公論新社
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Google Earthの日本語版がついに公開されました。

いやあ、またまたハマってます(^^;)

だって、宇宙空間から一気に自宅の上空100メートルまで駆け下りたり、自宅からロケットで打ち出されるように一瞬でニューヨークへ、上海へ、ホノルルへ飛ぶことができるんですよ〜。

自分の行きたい場所を好きなように選んでツアーを組めば、まるで地表がトランポリンにでもなったように、ぴょんぴょんと文字通り地球を股にかけて飛び回ることもできますし、“80日”どころか“80秒”間世界一周だってできるんです(笑)。

で、そうやって遊んでいるうちに思い出したのが、画像の『宇宙からの帰還』(立花隆)だったんですね。

この本は、『田中角栄研究』、『脳死』、『精神と物質』など、つっこんだインタビューと綿密な調査で良質なルポを送り出してきた立花隆氏による、1983年の作品です。(うわっ、もうそんな昔^^;)

いままで語られることのなかった、宇宙飛行によって宇宙飛行士の内面にどのように変化が起きたかを報告したこのルポは、当時、大きな反響を呼んで、同名の映画まで製作されました。(ちなみにこの映画、面白いことに私の住んでいる地域では、『風の谷のナウシカ』と同時上映でした(笑)思想的には通底する部分はあるんだろうけど、どうしてそんな二本立てにしたんでしょう?^^;)

当時、高校生だったボクは、この本を読んで相当ショックを受けました。

宇宙飛行を経験した飛行士たちが、その後、聖職者になったり、発狂してしまったりした、という事実の面白さもさることながら、なによりも彼らが語る、宇宙から見た地球の姿がものすごく魅力的で、ホントに心の底から「宇宙から地球が見てみたい」と思ってしまったんですね。

「その眺めは格別だ。人間がこれまで見たことがない見方で地球を見ることができる。地球を離れるに従って大陸や大洋が一目で見渡せるようになり、やがて、地球の球体としての輪郭が見えてくる。世界が一目で見える。全人類が私の視野に入ってしまう。地球の上で時間が流れていくさまが目で見える。私はここにおり、その他の世界のすべては、私に見られてそこにある。私は人でありながら目だけは神の眼を持つ体験をしているのだと思った。地球から離れるに従って、地球は、ますます美しくなる。」

「体験で得たもので一番大きかったのが神の認識だ。宇宙から地球を見るとき、そのあまりの美しさにうたれる。こんな美しいものが、偶然の産物として生まれるはずがない。ある日あるとき、偶然ぶつかった素粒子と素粒子が結合して、偶然こういうものができたなどということは、絶対に信じられない。地球はそれほど美しい。何らの目的なしに、何らの意志なしに、偶然のみによってこれほど美しいものが形成されるということはあり得ない。そんなことは論理的にありえないということが、宇宙から地球を見たときに確信となる。」(ジーン・サーナン ジェミニ9号・アポロ10号・17号)



どうです? 衛星軌道を離れて、超長距離の宇宙空間から地球を見てみたいと思うでしょ?

で、結局、Google Earthにボクがどうしてそんなに引きつけられるのかというと、この本によってかき立てられた「地球を神の視点で見てみたい!」という欲求を、バーチャルで不完全な形にせよ、体験させてくれるからなんでしょうねぇ。

ちなみに、スペースシャトルの乗組員、野口聡一さんは、この本を読んで宇宙飛行士になろうと決意したとのこと。

今年は秋雨前線の影響で曇り空が多いとのことですが、もし仲秋の名月が拝めたならば、ぜひこの本を読んで、その上でGoogle Earthで遊んでみてください。きっと日頃の悩みが、ちっぽけなものに感じられると思います。

でも、くれぐれも面白すぎて夜更かしをして、翌日寝坊をしないようにしてくださいね(笑)

それでは。

パプリカ(筒井康隆) 

パプリカ パプリカ
筒井 康隆 (2002/10)
新潮社
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●一週間のご無沙汰でした。司会の玉置宏です(ウソです)

わかるかな〜、わかんねぇだろうなあ〜 (年がバレます^^;)

さて、ここんとこ奇妙なシンクロニシティが続いています。

塾のコラムに10年前になくなった祖母のことを書いたら、その二日後に祖母の妹さん(なんて言うんだろこの親戚関係?)がなくなったり、夏講で疲れて「鰻が食べたい〜」と叫んでいたら、その日の午後に鰻の差し入れがあったり……。(いやあ、この時はホント、ユングさんに感謝しました(笑))

でもって、筒井康隆なんですけど、先日の記事に「乗越駅の刑罰」を引用したのを皮切りに、なんだかいろいろ情報が飛び込んでくるようになったんですね。

まず、小松左京の「日本沈没」をパロディ(?)にした「日本以外全部沈没」が映画化されるという情報が入ってきて、さらに「時をかける少女」のアニメ版がなかなか良い、という話が聞こえてきました。昨日はなにげにこの記事のタイトルになった「パプリカ」をパラパラ読みかえしていたら、今朝はこんな記事を発見。

【第63回ヴェネチア国際映画祭】筒井康隆原作のアニメ『パプリカ』が5分間のスタンディングオベーション!

ヴェネチアの今敏監督
 2日、コンペティション部門作品である今敏監督のアニメーション『パプリカ』(2007年正月公開)の公式上映がメーンシアターの「サラ・グランデ」で行われ、上映後には約5分間のスタンディングオベーションとなる喝采を受けた。

 同作品は、筒井康隆氏の同名小説が原作で、他人の夢に入り込んで精神治療を行う画期的な装置「DCミニ」が、何者かによって盗まれたことから始まるSFファンタジー。数年前に筒井氏とアニメ雑誌で対談した際、「ぜひ、アニメ化して欲しい」と依頼を受けて製作したという。「今となっては普通かもしれないが、93年の出版当時、夢と現実が曖昧になってくるという設定の話は画期的だった。

 自分がアニメ監督となり、そういう作品を扱うようになったのは『パプリカ』の影響が大きかった。なので今回、原点に戻ったという感じです」(今監督)(後略)



いやあ、ちょっとビックリしました。昨日の今日だったので。

「パプリカ」は93年の作品で、amazonの説明を借りるとこんな話です。

精神医学研究所に勤める千葉敦子のもうひとつの顔は「夢探偵」パプリカ。患者の夢を共時体験し、その無意識へ感情移入することで治療をおこなうというものだ。巨漢の天才・時田浩作と共同で画期的サイコセラピー機器「DCミニ」を開発するが、ノーベル賞候補と目されたことで研究所内には深刻な確執が生じた。嫉妬に狂う乾副理事長の陰謀はとどまるところをしらず、やがてDCミニをめぐって壮絶な戦いが始まる!現実と夢が交錯する重層的空間を構築して、人間心理の深奥に迫る禁断の長篇小説。



でも、このころの筒井氏は本当にすごかった。

「残像に口紅を」(’89)や、「文学部唯野教授」(’90)「朝のガスパール」(’92)など、メタフィクション(フィクションに関するフィクション)の傑作を次々と生みだし、その到着地点として生みだされたのが、この「パプリカ」(’93)というわけ。

ちょうどこの本が出版されたときは、ボクはアメリカで日本語を教えていて、日本の友人からわざわざ送ってもらって、一気読みした記憶があります。

日本語の本に飢えていたせいもあって、一語一語が脳髄に染み渡り、読んだ人は分かると思うけど、この本の持つ夢と現実が入り交じった独特のトリップ感に恍惚として読みふけったものです。

現実と夢、虚構と現実、毎日の慣れない英語でのコミュニケーションで心がヒリヒリして、ともすると周りの風景まで非現実的に見えてくる状況で、この本は忘れられないものになりました。

さて、アニメ版の「パプリカ」ですが、さっそく公式ページに行って予告編を見てきました。ちょっと千葉敦子がクールすぎるのと、時田浩作にかわいげがない(笑)のが残念ですけど、十分期待できそうです。

お正月に公開だそうですから、ぜひ、見に行こうと思います。

ただ、筒井原作の映画って、なんだかいまいちってのが多いからなあ(^^;)。

あまり期待しすぎるとガッカリするかもしれないから、あくまでもニュートラルに、ニュートラルに。平常心を保って見に行きましょうかね。

伝染るんです(吉田戦車) 

伝染(うつ)るんです。 (1) 伝染(うつ)るんです。 (1)
吉田 戦車 (1998/11)
小学館
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●今日は朝から久々に論文オンラインのニュースレター、『言有宗』のコラムを書きました。

今月と来月、2ヵ月続きで「『読む』とは何をすることなのか?」と題して、普段われわれが無意識に行っている「読む」という行為を、記号論をベースに解説します。

ただ、記号論という学問の名前や、「所記」や「能記」(←悪訳!)といった学術用語は一切使わずに、なるべく楽しく、分かりやすく説明しようとしたので、けっこう骨が折れました。

残念ながらこのブログにアップされるのは11月になってしまいますが、もし興味があれば読んでみてください。

で、そのコラムの中で引用させてもらったのが、画像の『伝染るんです』

なんで記号論にマンガが? と思われるかもしれませんが、侮る事なかれ。このマンガはげらげら笑わせてくれて、人間存在の深淵も覗かせてくれる「哲学の書」(ちょっと大げさかな(笑))なのです。

このマンガが一世を風靡したのは80年代後半、時代はバブル真っ只中、旧来の価値観はガラガラと音を立てて崩れ、何が正しく何が間違っているのか分からなくなりかけた時代。

「ニューアカデミズム」や「ポストモダン」といった言葉がもてはやされ、「パラダイムシフト」が起こり、あらゆる分野で「ディコンストラクション」が起こった片仮名だらけの良く分からない“何でもアリ”の時代でした(^^;)。

そのへんの時代の空気はバッチリこのマンガにも反映されてて、何というか旧来の枠組みを、斜め後方にズルっとずらしたときに起こる、奇妙な感覚を笑いに昇華させている感があります。

その当時のボクはというと、大学の授業に嫌気が差して、吉野家の深夜バイトに明け暮れる毎日。

夜中の休憩時間にロラン・バルトやミシェル・フーコーと並行して、このマンガが連載されていた「スピリッツ」や「モーニング」を読み漁る生活でした。

当時は「美味しんぼ」や「クッキングパパ」も始まったばっかりで新鮮で、「沈黙の艦隊」や「ナニワ金融道」など、あの頃の両誌にはパワーがあったなあ(遠い目)。

このマンガは、まさに青春の惑いと迷いの宙ぶらりんの感覚を、吉野家の牛丼の匂いと共に思い出させてくれる作品なのです。